「〇〇炎」と言われた痛みについて
身体のどこかを痛めて医療機関を受診すると、「〇〇に炎症が起きていますね」と言われることがあります。
この言葉を聞くと、安静にするしかない、時間が経つのを待つしかないと思ってしまう方がほとんどです。
しかし、長引く痛みの多くは、本当に炎症が原因なのでしょうか。
以下に当院の炎症についての考えをまとめてみました。
炎症とは何か
医療機関で痛みを訴えると、「ここに炎症が起きていますね」と説明されることがあります。
では、その「炎症」とは何なのかを、あらためて整理してみます。
炎症とは、体に入ってきた悪いものを排除しようとしたり、ぶつけたり捻ったりして傷ついた組織を、できるだけ早く修復しようとする身体の防御反応です。
つまり、炎症は病気そのものではなく、体が自分自身を守り、治そうとして起こす自然な反応です。
炎症が起こると、次の4つの反応が必ずセットで現れます。
- 痛みが出る
- 赤くなる
- 熱を持つ
- 腫れる
これらは「ケルススの4徴候」と呼ばれ、炎症が起きているかどうかを判断する、明確な指標です。
そして重要なのは、炎症とは傷が生じた直後の短い期間に起こる一時的な反応であり、長期間続くものではないという点です。
炎症は長く続くものではない
この炎症反応は、永遠に続くものではありません。
骨折などの例外を除けば、長くても1週間程度でピークを過ぎ、自然に治まるのが通常です。
なので、何か月も続いている痛みを、炎症が原因というのには無理があります。
スポーツ障害と〇〇炎

当院にも、〇〇炎と診断されて来院される方が多くいらっしゃいます。
- 腱鞘炎
- 野球肘
- 肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)
- 腸脛靭帯炎(ランナー膝)
- アキレス腱炎
- 足底筋膜炎
ほかにもたくさんありますが、これらはすべて、「炎」がついた診断名です。
しかし、これまで数多くの〇〇炎を施術してきた経験上、実際に炎症が起きているケースは、ほとんど見たことがありません。
本当に炎症なら施術では治らない
もし本当に炎症が起きているのであれば、治療方法は限られます。
冷やす。
安静にする。
場合によっては薬で炎症を抑える。
これらを行い、自然に治まるのを待つしかありません。
しかし実際には、他院で〇〇炎と診断され、何か月も治らなかった方が、当院の施術で、しかもその場で痛みが取れるケースが多々あります。
長引く痛みの本当の原因
何ヶ月も続く「〇〇炎」の痛みの原因は、炎症ではありません。
本当の原因は、関節や筋肉が本来の動きをうまくできなくなっていることにあります。
例えば、
- 同じ動作の繰り返しによって、体の一部に負担が溜まり続けている状態
- どこかがうまく動かないことで、別の場所が無理をし続けている状態
こうした状態が痛みを回復する働きを邪魔しているのです。
これこそが、痛みが長引く本当の理由です。
しかし実際には、「炎症」という言葉で説明されてしまうことで、本来整えるべき体の動きの問題が見過ごされているケースが非常に多くあります。
炎症を抑えることばかりに意識が向いてしまい、痛みを生み出している根本部分が手つかずのままになっているのです。
まとめ
「〇〇炎」と診断されて、何ヶ月も痛みが続いている場合、その痛みは炎症ではありません。
炎症は体が傷を治そうとする一時的な反応であり、長く続くものではありません。
それでも痛みが続くということは、体のどこかに問題があり、無理をし続けている状態が残っているということです。
その状態を整えずに、冷やしたり安静にしたりしていても、痛みが改善しないのは当然です。
今現在も「炎症だから仕方ない」「安静にするしかない」と言われ続けているようでしたら、セカンドオピニオンをお勧めします。