
野球肩の本当の原因と診断名に惑わされない考え方
野球肩は「専門的な診断名」がつくことで不安になりやすい疾患ですが、実際はシンプルです。
診断名にとらわれず、本当の原因を理解することが早期改善への最短ルートです。
野球肩という診断名の正体
野球選手が肩を痛めると、整形外科では「野球肩」と診断されます。
実際には“野球選手が肩を痛めたらとりあえず野球肩”という非常にざっくりした名称です。
テニス選手の肘が痛くなればテニス肘と診断されるのと同じです。
つまり野球肩とは、肩の痛みの本当の原因を示す診断名ではありません。
野球肩の種類
野球肩とひとことで言っても、その中にはいくつかの分類があります。
診察を受けると専門的な名前をつけられることが多いですが、これらはあくまで「痛みが出ている場所」や「動きの悪い部分」を便宜的に分類した名前にすぎません。
診断名の違いよりも、どこに原因があるのかを正しく見つけることがはるかに重要です。
ここでは一般的に言われている野球肩の種類をまとめます。
肩関節インピンジメント症候群
肩を動かす際に骨や筋肉が衝突し、組織が挟まれて痛みが出る状態。

画像引用元:インピンジメント症候群 – McDavid
腱板損傷
棘上筋・棘下筋など、投球に重要な腱板が“損傷した”とされる状態。

画像引用元:肩腱板損傷 | 福岡整形外科病院
上腕骨骨端線障害(リトルリーグショルダー)
成長軟骨部分に負荷がかかり、骨端線が離開すると説明される状態。

画像引用元:上腕骨近位骨端線損傷 | さいたま整形外科クリニック
動揺性肩関節症(ルーズショルダー)
明らかな損傷がないのに肩が不安定で痛む症状。

画像引用元:肩関節不安定症 | 三国ゆう整形外科
肩甲上神経損傷
肩の筋肉を支配する神経が“損傷した”と診断されるケース。
関節唇損傷
肩の受け皿を支える関節唇が剥離したとされ、引っかかり感などが説明されます。
ただし、これらの診断名がついたからといって、本当に損傷しているとは限らないという事実は知っておいてほしいです。
診断名が独り歩きする理由
整形外科では「切断」「損傷」「剥離」「離開」といった言葉が並ぶことがあります。
ですが、本当にその診断名の通りならどうなるでしょうか。
もし腱板が“損傷”しているなら、それは切り傷と同じです。
切り傷はその場で治りません。安静にして自然治癒を待つしかありません。
しかし実際には、安静を続けても一向に治らない選手が当院には多く来院します。
そして施術を行うと、その場で改善したり、完治するケースも非常に多いです。
本当に損傷しているのか?
結論から言うと、これまで何百という野球肩を診てきた中で、腱板や関節唇が実際に損傷していたケースはほとんどありません。
ではなぜ損傷と診断されるのか。
レントゲンや画像では映らない「小さな問題」を、便宜的に専門的な名称へ当てはめているだけです。
本当に切断や剥離が起きていれば、肉離れのような強烈な内出血と激痛が出るはずです。
それがないのに損傷と診断されているなら、それは“損傷もどき”です。
野球肩の本当の原因
「腱が挟まれているから痛い」と説明されることがありますが、その挟まる原因は肩周囲の筋肉や靭帯の動きの悪さです。
疲労や使い過ぎで動きが悪くなると、肩関節に微妙なズレや歪みが発生します。
その結果、腱が挟まる状態になり痛みが出ます。
つまり、挟んでいる“原因”を取り除くと痛みは消えます。
特に棘上筋、棘下筋など投球に必須の筋肉の動きを整えると、肩の外転(腕を上げる)や外旋(ひねり)の動きがスムーズになります。
安静や手術の前に知ってほしいこと
「野球を休んで安静にして下さい」と言われることがあります。
しかしいつまで経っても治らない安静は、そもそもの原因が間違っているサインです。
損傷していないのに損傷と言われているだけなので、安静では治りません。
野球肩は手術が必要な疾患ではありません。施術で治ります。
施術ポイント
野球肩は外転と外旋が複合した動きだなので、振りかぶった時や肩がしなる動きで痛みが出やすいです。
棘上筋の付着部を緩めるだけでも痛みが軽くなる場合があり、棘下筋の調整も非常に重要です。
肩の動きの悪い部分を特定し、オーダーメイドで調整することで、その場で改善します。
まとめ
野球肩は子供から大人まで誰にでも起こり得る症状です。
ですが切断や剥離、損傷が原因ではありません。
対処療法は痛みをごまかしながら自然に治るのを待つだけで、根本的な改善にはなりません。
野球肩は施術で治ります。
- その肩の痛み、切断や剥離が原因ですか?
- メスを入れる(手術する)必要がある怪我ですか?
- 対処療法で痛みをごまかし、自然に治るのを待っていませんか?
現在の治療に不安がある方、安静や手術を勧められて悩んでいる方は、一度セカンドオピニオンをお勧めします。